著:ラムジー・キャンベル(Ramsey Campbell)
1946 年、英国マージーサイド州のリヴァプールに生まれる。幼少期から怪奇小説に耽溺し、15 歳の頃、アーカムハウスに作品を送ってA・W・ダーレスに注目され、彼の指導のもと作家デビューを果たす。クトゥルー神話作家としては、英国南西部グロスターシャーの、セヴァン・ヴァレー界隈を舞台にした作品群で知られる。英国幻想文学協会の終身会長を務める同国ホラー界の重鎮で、近年もクトゥルー神話作品を発表し続けている。代表作に、長編では『暗闇の嗤い The Grin of the Dark』(2008 年度英国幻想文学大賞受賞)、短編集では『恐怖とふたりきり Alone with the Horrors』(1994 年度世界幻想文学大賞受賞)がある。これらの作品を含めて未邦訳のものが多かったが、近年、雑誌やアンソロジーで短編が紹介される機会が増えている。
https://knibbworld.com/campbell/
訳:森瀬 繚(もりせ・りょう)
ライター、翻訳家。TV アニメやゲームのシナリオ/小説の執筆の他、各種媒体の作品で神話・歴史考証に携わる。クトゥルー神話研究家として数多くの著書があり、近著は『クトゥルー神話解体新書』(既刊2 冊、コアマガジン)。翻訳者としてはS・T・ヨシ『H・P・ラヴクラフト大事典』(日本語版監修、エンターブレイン)、ブライアン・ラムレイ『幻夢の英雄』(青心社)、H・P・ラヴクラフト作品集「新訳クトゥルー神話コレクション」(星海社、第6 集近日刊行)などがある。
http://chronocraft.jp/
英国のクトゥルー神話作家を代表するラムジー・キャンベルが
2013年に発表した、新世紀のクトゥルー神話中編
マッターホルン・プレスが、英国のセヴァン・ヴァレーに根を張るカルト教団の聖典を、『グラーキの黙示録』のタイトルで無許諾刊行してから、150年近くの歳月が流れた。
ブリチェスター大学のアーキビストであるレナード・フェアマンは、この伝説的な書物の“唯一現存する写本”を大学に収蔵するべく、英国北部の海岸沿いに位置するガルショウという町に赴くことになる。ちょっとした日帰りの旅のつもりだったが、そうはならなかった。求める『黙示録』の各巻は、この風変わりな町の別々の住人が所有しているというのである──
英国怪奇・幻想文学界の巨頭、ラムジー・キャンベルが16歳の頃に執筆した「湖の住人」に登場して以来、彼の作品世界の背景に見え隠れし続けた忌まわしき神話典籍、『グラーキの黙示録』。50年もの間、その全容を匿(かく)し続けてきたヴェールが、他ならぬラムジー・キャンベル自身によってついに剥ぎ取られた!
キャンベルの創造した『グラーキの黙示録』
その全貌に迫る重要作
発起人・翻訳:森瀬 繚(もりせ・りょう)
『グラーキの黙示録』にまつわるキャンベルの短編作品の多くは、クトゥルー神話作品集『グラーキの黙示』の既刊分に収録されている。2013年刊行の長編『グラーキ最後の黙示 The Last Revelation of Gla'aki』こそは、その締めくくりとなるべき作品であり、この作品集の第3巻に収録するのに相応しい。
読者諸兄諸姉におかれては、今回もまた、どうか実現にご協力願いたい。