
Lisl H. Detlefsen (リスル・H・デトレフセン)
絵本作家。主な作品に『Time for Cranberries』『At the End of the Day』『Still There Was Bread』『Each Day Is a Gift』(いずれも未邦訳)などがある。米国ウィスコンシン州ウィスコンシン・ラピッズ近郊にある、家族が所有するクランベリー畑にある家に暮らしている。
Nathalie Dion(ナタリー・ディオン)
多くの絵本を手がけるイラストレーター。代表作に『The Big Bad Wolf in My House』『I Found Hope in a Cherry Tree』『Kumo: the Bashful Cloud』(いずれも未邦訳)などがある。また、フランス語とドイツ語に翻訳されている絵本『My Mad Hair Day』ではイラストだけでなく、文章も手がけている。現在は、カナダのケベック州モントリオール在住。
私のお母さんは、凧のように空高く舞い上がるときもあれば、凧が帆に変わり、波に揺られながら船のように漂い、やがて水が溢れて沈み始めるときもある。
私は、必死に水を汲み出そうとするんだけど、バケツが小さすぎるのか、穴が開いているのかそれを止めることができないの。
私も、大人になったら空高く舞い上がったり、海の底に沈んでしまうのかな…。
不安な日々が続く女の子に、新しい友達のグレースができました。
セラピストでもあるグレースは、お母さんを治すのは子どもの役目ではないと話します。
そして、つらいときの過ごし方も教えてくれます。
シリアスな題材にして、温かな表現で子どもに寄り添う美しい作品。

翻訳:田野中恭子(たのなか・きょうこ)
こころの病気について話す時、しんどいことばかりが注目されやすいです。この絵本はそのしんどいことで終わりません。
絵本『My Mom is Like a Kite』の魅力を3つご紹介します。
◎魅力1~内容~
メンタルヘルス不調や心の病気があるご本人とその子ども、家族がどんな嵐に見舞われても、それを乗り切る方法や考え方があること、そのことに気づき、それらをもっておくことの大切さを、やさしい絵で伝えてくれています。
物語の最後には、女の子は「私も心の病気になるの?」と支援者に質問する場面があります。支援者は、心が不安定になってもそれを乗り越えるための力(人や場所等とつながっておき、頼ること)の大切さを教えてくれます。
心の病気があるご本人やその子ども、家族、支援者に、心の病気への対応や役立つ内容をやさしく伝えてくれます。
◎魅力2~絵~
ページを開くと、あたたかい心にふわっと寄り添う、やさしい色の絵が広がります。
◎魅力3~表現~
支援者と出会った親子は、「気づかずに止めていた息を吐きだしはじめます」
絵本の著者自身も心の病気の経験があり、本人や家族が感じていることを、豊かに表現してくれています。
親子の様子をやさしく描く絵と表現、そして力をくれる内容で、つらくなった心をふっとあたためてくれるようです。
ぜひ、日本の皆さんにもこの絵本を手に取って、ページをめくっていただきたい一冊です。
田野中恭子(たのなか・きょうこ)
佛教大学看護学部看護学科 教授、保健師・看護師/博士(保健学)、CAMPs(精神疾患のある親をもつ子ども支援団体)代表
京都産業大学外国語学部卒業後、会社員を経て看護師・保健師になる。その後、大学教員として本業に従事しつつ、精神障害者の家族や子どもへの支援・研究を行う。現在は、精神障害者の家族会「京家連(きょうかれん)」にて、「精神に『障害』のある親をもつ子どもの集い」の運営や子どもの個別相談を実施。CAMPs Webサイトにて当事者の子ども向けの情報発信を行うとともに、支援者向けの研修会等を開催している。
主な著書等
『子どもの語りからわかる 精神疾患のある親をもつ子どもの支援』(中央法規出版,2025)、『親の精神疾患とともに生きる子どものレジリエンスを高めるために 家庭、地域、保育・教育現場でできること』(監修、かもがわ出版,2024)、『悲しいけど、青空の日 -親がこころの病気になった子どもたちへ-』(翻訳、サウザンブックス社, 2020)、『親が精神障害 子どもはどうしてんの?』(PVプロボノ+ぷるすあるは制作)