親が精神を病んでしまった子どもの力に
『悲しいけど、青空の日〜精神疾患の親がいる子どものために』
書名:Sonnige Traurigtage
著:Schirin Homeier
発行国:ドイツ
発行年:2006年
ジャンル:児童、健康、心理
ISBN:9783938304167
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それからハイキングにもいきます。もちろん、マックスも一緒です。
ママが元気で楽しい日。
そんな日をモナは、「青空の日」と呼んでいます。

けれど「青空の日」ばかりではありません。
「悲しい日」がやってくるのです。その日はまったく違っています。

うつ病のお母さんと暮らす少女が周囲からの助けをえて、
子どもらしさを取り戻す物語

去年、お母さんは何かが変わりました。お母さんはとても沈みこみ、家事もできなくなりました。この「悲しい日」に9歳の女の子モナは怒りや悲しみの感情を抑えて多くの責任を負い、そして「青空の日」を心の底から待ち望んでいます。ある日、モナは大切な友達、ぬぐいるみのマックスを土に埋めるかわりに、お母さんがよくなることを神様にお願いします。その日から眠れなくなり。。。
モナや精神を病むお母さんは、そしてマックスはどうなるのか?

第1部 うつ病のお母さんと暮らすモナの物語

第2部 モナが基本的な質問を読者の子ども達に説明
    「精神病って何?」「私のせいなの?」「誰がママやパパを助けてくれるの?」
    「私は誰と話したらいいの?」「危機的な時の緊急対応」など

第3部 困っている子ども達を助ける身近な人や専門家への提案



周囲の人の理解と関わりが、「暗やみにいるよう」と感じる子ども達の光になる

精神を病む親と暮らす子どもは大きな負担と動揺を抱えます。そして両親や祖父母、先生などの身近な人は、子ども達にどのように接したらよいのか、わからないことが多くあります。
・子どもに親の精神病について、そもそも話してもいい?
・年齢に応じて、どのように説明すればいい?
・大人でも分かりにくい言葉になってしまうのに、子どもにどう伝えればいい?

大人が子どもに精神病について説明することは少ないのですが、子ども達は大人が思うよりも親の精神病をなんとなく感じ取り、わかってもいます。想像力がふくらみ現実以上の恐怖や不安を感じることもあります。そのため、その気持ちをうけとめ、どうしたらいいのか一緒に考えてくれる大人を必要としています。
この本は、精神病の親と暮らす子どもの不安や疑問への提案が、科学的な知見をもとにわかりやすく描かれています。身近な大人が子どもを理解し支える助けにもなります。

<ドイツでの本書への口コミ>
児童専門書としては多い「1万部以上」を販売
“すべての小学校、幼稚園に置く必要がある本だ”(ソーシャルワーカー)
“すべての専門職の必読書ですばらしい!”(精神社会学者)
“最新の知見に基づき、典型的な例を取り上げた科学的にも質の高い本”(児童精神科医師)
“精神病へのタブー視を乗り越えることを助ける本”



親の精神病に大きな影響をうける子ども達を支えよう!


発起人 田野中恭子より

もしも家族の1人が精神を病んだら、本人や家族の生活は大きく変化します。

私が10代の頃、一緒に暮らしていた祖母が認知症を患い、彼女の人格や生活は大きく変わっていきました。そして、その祖母を支えていた母も心身ともに疲れ果ててしまいました。今では認知症やうつ病など、精神の病をオープンにする人が増えてきていますが、当時は、周囲に話しても正しく理解されないことを肌で感じ、家族の中の秘めごととして、外では何事もないように過ごしていました。人が病むと本人だけでなく、家族もこんなに苦しまないといけないのかと強く思いました。

その後、看護師、保健師になり、2013年より「精神障害の親をもつ子どもの集い」に参加し、20年たった今でも、子ども達は親の精神病を誰にも伝えず、苦しみ、大人になっても生き辛さを感じていることを知りました。このまま声をあげられない子ども達の存在を隠してはいけない、表にだして少しでもこうした子ども達が安心して生きていけるようにしたいと思い、子ども達の声を聴き、子ども達の経験や支援について論文等にまとめてきました。

<子ども達の困りごとの例>
・親の病についてわけもわからず、不安や混乱する気持ちの中で親の病状をみている
・日常の世話を十分うけず、衣食住に困る
・親の精神病のことを周囲の人に話せず、困りごとを抱えこむ
・周囲の無理解な言動に傷つき、家でも外でも安心できない、など

うつ病を含む精神障害者の数は390万人となり、日本人の30人に一人は精神を病んでいます。しかし、病のことは理解されにくく、その子どもの存在はほとんど知られていません。最近、精神を病む人の子どもについて、少しずつメディアに取り上げられるようになってきました。しかし、こうした子どもに具体的に何をどうしたらよいのか、理解を深められる本はとても少ないです。

海外では、40年程前から多くの研究や支援が進められ、ドイツでは、このテーマに関して数多くの本や映像教材、Webサイトが出ています。誰もが手軽にこれらの情報を手にいれることができ、学校の教材としても使われています。研究者や精神保健の専門職、アーティストなど多様な職種がコラボレーションして作り上げている情報は、わかりやすく、説得力があり、日本でもこのような内容がもっと広まらないかと思いました。

たまたま、私がドイツ語を学んでいたこともあり、ネットで取り寄せたドイツ語の本の一つがこの児童専門書『Sonnnige Traurigtage (悲しいけど、青空の日)』でした。主人公モナの描写は心にせまるものがあり、同じ立場の子ども達にやさしく語りかける内容は日本の子ども達の共感も得やすいと感じました。

子ども達は、親が病んでいても元気に過ごしてよいのです。
子ども達は、気持ちを受け止められ、子どもらしい欲求を訴えることが許されています。
そのためには、親や周囲の人の理解、環境づくりが必要です。
この本が、一人でも多くの精神を病む親がいる子ども、周囲の人の手に届きますように。応援をどうぞよろしくお願いします。

田野中恭子(たのなか きょうこ)
佛教大学看護学科講師(保健師、看護師)
京都産業大学外国語学部ドイツ語学科卒業。ベネッセコーポレーションに勤務後、31歳で看護師、保健師になり、病院勤務。その後、大学教員になり本業に従事するかたわら精神障害者の家族に関する研究を行う。2010年より京都精神保健福祉推進家族会連合会の活動や「精神に『障害』のある親を持つ子どもの集い」に参加。
2013年よりドイツの当該テーマの研究、支援機関を訪問し、先進事例を国内に紹介。精神障害者の家族セミナーの開催や講演・研修活動、NPO法人ぷるすあるは製作の動画「親が精神障害 子どもはどうしてんの?」に参画。
著書・論文:「ケアの実践とは何か」「精神疾患の親をもつ子どもへの支援-ドイツの子ども支援と日本への応用に向けて」「精神疾患の親をもつ子どもの困難」他