依存症の家族をもつ子ども達のケアに、アメリカで広く使われている定番書『When Someone in the Family Drinks Too Much』日本語版
「お父さんが飲んじゃうのは、ぼくのせい…?」
そんな風に思ってしまう子どもたちがいる
書名:かぞくがのみすぎたら
著:リチャード・ラングセン
絵:ニコール・ルーベル
監修:伊波真理雄、谷口万稚
訳:久松紀子
刊行:2017年2月
ISBN:978-4-909125-02-6

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“けっこんしている人も、りこんした人もいます。
だいたいみんな仕事をしていて、子どもがいる人もたくさんいます。
どんな人でもアルコール依存症になります。
お金もちも、そうではない人も。
どんな色のはだの人も、若くても年をとっていても、
子どものときに幸せだった人も、そうではなくても。(本文より)“

著:Richard C. Langsen(リチャード・ラングセン)
ハンター・カレッジの修士課程を修了後、ニューヨークのアッカーマン・インスティチュートで家庭向けセラピーの訓練を受ける。ポートランドのライアー・ヒル・クリニックで指導をするなかで、幼い子どもたち向けにアルコール依存症の情報が必要だと感じ、本書を執筆する。

絵:Nicole Rubel(ニコール・ルベール)
1953年、米国フロリダ州生まれ。絵本作家。アンリ・マティスに影響を受けた独特の画風が特徴。大ヒット「あくたれラルフ」シリーズは米国でテレビ番組にもなった。

日本のアルコール依存症と予備軍患者数は294万人。
依存症の親を持ち、悩んでいる子どもたちへ贈る
心の葛藤を抱えることは間違いではないと説く1冊




本書は、家族の誰かが飲み過ぎているのが通常となっている場合に見られる典型的な問題行動や、家族に与える影響をわかりやすく説明しながら、怒りや悲しみ、憎しみなど様々な感情を持つことは自然なことと説きます。
2013年の厚労省研究班によると、アルコール依存症と予備軍患者数は294万人、多量飲酒者(飲む日は純アルコール60g以上-ビール中瓶500ml3本)は980万人となっています。「お酒をたくさん飲む人が家族の中にいる」ことは誰にとっても身近な問題なのです。



推薦者 谷口 万稚より

はじめまして。今回この絵本をご紹介させていただきます谷口万稚です。米国認定臨床心理士として約20年カウンセリングを行ってきました。米国の大学院を卒業後、インターンとして勤務し、そのまま就職した職場がアルコール・薬物依存症専門のカウンセリングセンターでした。そこでACOA(Adult Children of Alcoholic、薬物・アルコールに問題がある親をもつ子どもたち)のグループを担当したのですが、そのときにみんなで読んでいたのがこの絵本です。

when_1.jpgアルコール(薬物)の問題を持つ親がいる家は、子どもにとって、安心・安全・安定とは程遠い場所になってしまいます。もう一方の親が何事もないかのようにふるまったり、子どもにもそれを強要したりして。子どもは敏感だから、そんな信号をキャッチして見て見ぬふりを担っていきます。

でも、実は子どもは混乱しています。だって、飲んでいないときは優しいのに、飲めば豹変。飲んでいないときに交わしたはずの約束を何度も破られたりすれば、親に期待することを止めてしまう。喧嘩が絶えず、昼間から酔っている親のいる家に、友だちを呼ぶことだってできません。学校での話や友人のこと、自分自身の悩みがあっても、親に相談することさえあきらめてしまいます。

いつの間にか、「見ざる言わざる聞かざる」で過ごすことが、生き抜く為の手段/方法となっていくのです。親が飲んでしまうのは自分が悪いからではないか、と自分を責める子もたくさんいます。

この絵本で子どもたちは、自分や家族が苦しんでいるのは、アルコール依存症という病気が原因だと知ることができます。依存症は適切な支援を受けることで回復し、挫折してもまた回復に挑戦できることを教えてくれます。そして、自分でもわからない、親や自分自身に対するさまざまな感情を認め、それらを肯定するきっかけを与えてくれます。

酔っている親に心ないことを言われ続ける子どもたちは、自分は愛されていないのではないか、邪魔な存在なのではないか、自分が悪いのではないかと苦しみます。しかし、アルコール依存症を患う親のほうもまた、子どもに愛していると本来の気持ちを上手く伝えられず、通常のふるまいができなくなり悩んでいる——そんな現状をこの本は教えてくれます。

現在の私は、子どもたちの支援をする機会を持っていませんが、子どものとき、何のサポートも受けずに大人になった方々を支援しています。あの時、こんな絵本に出会って、自分が悪いわけではなかったと知っていたら違っていたかもしれない、と語る大人の方々です。

そんな経緯もあって、お願いです。ぜひ、この絵本を必要としているたくさんの子どもたちや、その家族の手元に届けたい! プロジェクトにご協力いただければ幸いです。



漫画家・西原理恵子さんより応援メッセージをいただきました


ご自身も家族のアルコール依存症に苦しみ、現在は様々な形でアルコール依存の問題に取り組む漫画家・西原理恵子さんが当プロジェクトにご賛同くださいました!西原さんからいただいたメッセージをご紹介します。


たくさんの子供が自分の心を守れるように

アルコール依存症は、お酒のためなら、
どんなウソもつく、どんな大事な人も傷つける、
そんな病気です。

子供とその家族は、この問題を決して自分たちで抱えてはいけません。
医者と専門家しか対応してはいけないんだという知識を身につけてください。

そして、この本を読んで、大人がまず知識を得て、
心の底から悲しんでいるたくさんの子供を救うために、
翻訳出版されることを心から希望します。

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『When Someone in the Family Drinks Too Much』と西原理恵子さん


Special Thanks

井川 哲子、株式会社イグサーヴァ、梅野 充、太田 寛、川下 かずよ、村田 吉弘、雷門メンタルクリニック(院長:伊波 真理雄)

推薦者:谷口万稚
米国認定臨床心理士。米国マサチューセッツ州レスリー大学大学院カウンセリング心理学部卒業。薬物・アルコール依存症などの精神的な疾患や心の悩みへのカウンセリングを各カウンセリングセンター、クリニック、学校にて従事。企業や学校に向けての講義、ワークショップも担当。