国際アンデルセン賞受賞作家スージー・リーの原点
韓国語絵本デビュー作
書名:どうぶつえん
作:スージー・リー
訳:姜汶政、松岡礼子
発行年:2024年3月
仕様:A4変形判/上製本/32ページ/4色
ジャンル:絵本/フィクション
ISBN:978−4−909125−48−4

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きょうは ママと パパと どうぶつえん

みんなで ゴリラの おうちに いって

くまの おかにも いったよ


著:スージー・リー(Suzy Lee)
ソウル生まれ。2022年国際アンデルセン賞画家賞受賞。代表作に文字なし絵本『かげ』『なみ』(ともに講談社)『せん』(岩波書店)他あり。本作『どうぶつえん』は韓国語絵本デビュー作であり、2004年に韓国の出版社ビリョンソから刊行された。これまでにアメリカ、フランス、スペイン、メキシコ、台湾、中国で翻訳出版され、「2008年全米英語(国語)教師評議会が薦めるこどもの本」に選出されている。
(写真©️hae_ran)



訳:姜 汶政(かん むんじょん)
釜山出身。弁護士法人オルビス勤務。進学を機に来日。大阪教育大学大学院研究科修士課程国語教育専攻修了。現在は大阪市在住。

訳:松岡 礼子(まつおか・れいこ)
愛知県生まれ。至学館大学准教授、至学館大学附属図書館長、おおぶ文化交流の杜図書運営委員。共訳・分担執筆に『マルチモダリティ』『書くことの力をはぐくむマルチモーダル・アプローチ」』(ともに溪水社)(ともに溪水社)他あり。JBBY(日本国際児童図書評議会)会員。

ここはふしぎなどうぶつえん。
同じどうぶつえんにいるのに、見えるものは違うもの!?

国際アンデルセン賞画家賞を受賞しているスージー・リー。
挑戦的で実験的な絵本作家として世界的に有名で、邦訳作品に『なみ』『かげ』『せん』などがあり、国内でも人気です。

みんな同じどうぶつえんにいるはずなのに、それぞれ見えるものや聞こえるものは違うものなの?
シンプルな文書と繊細で美しいイラストで、その見事なパラレル・ワールドを表現します。

世界各国で翻訳され、大人と子どもが一緒に楽しめる名作絵本の邦訳版が誕生!


緻密に構築されたスージー・リーのどうぶつえん

2022年、「小さなノーベル賞」と呼ばれる国際アンデルセン賞画家賞を受賞したスージー・リーは、今、世界で最も注目を集める絵本作家のひとりです。スージー・リーの挑戦的実験的な現代絵本創作の歴史は、絵本というメディアの可能性を押し広げただけでなく、韓国初の国際アンデルセン賞受賞という快挙で、韓国社会における絵本作家の地位の確立および認知度の向上に大きく貢献しました

絵本『동물원(どうぶつえん)』は、文字なし絵本で有名なスージー・リーの初の韓国語絵本で、2004年に韓国の出版社ビリョンソから刊行されました。
その前年2003年にイタリア・コッライーニ社から出版した文字なし絵本『Mirror(かがみ)』は、本のノドを現実と空想・想像の世界の境界に見立てた絵本づくりを特徴としており、2008年と2010年にアメリカ・クロニクルブックス社から出版してニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞を受賞する『Wave(なみ)』と『Shadow(かげ)』と合わせて、「境界絵本3部作」と呼ばれる彼女の代表作となりました。
文も絵もスージー・リーが手掛けた韓国語絵本デビュー作『동물원(どうぶつえん)』には、代表作「境界絵本3部作」に共通する、スカート姿のこどもの原型が描かれます。親ではない誰かといっしょに跳ねたり踊ったりして遊ぶというモチーフも共有しています。異なるのは、こどもの声による語りがある点で、親の見ている世界とは異なる、いわゆるパラレル・ワールドから聞こえてくる声が、絵本のなかをいきいきと響きわたります。現実と虚構の境界なんて、最初からなかったのではないかしら?

さまざまなドラマがあるけれど、最後は必ずユーモアが残る。スージー・リー現代絵本の真髄を、ぜひ『동물원(どうぶつえん)』で味わってほしいと思います。これまでに、アメリカ、フランス、スペイン、メキシコ、台湾、中国で翻訳出版されており、アメリカでは「2008年全米英語(国語)教師評議会が薦めるこどもの本」にも選出されています。


  どうして 絵本をよむの?

  しつけ の ため?

  いいえ、

  しかけ を 遊ぶため。


実在の「서울어린이대공원(ソウルこども大公園)」をモデルにしたと言われる、作品冒頭部の動物園出入口付近の風景はたいへん魅惑的で、思い思いのスタイルで広場に集う老若男女が登場します。ベビーカーのこどもとお母さん。幼稚園教諭と園児のグループ。芝生で宴会を始める2人組と注意する警備員。われわれよみ手にカメラのレンズを向けてくるおじさんもいます。ひとりひとりの息遣いまで聞こえてきそうな群像劇を、スージー・リーはみごとに描きます。




物語は、こどもがママとパパと動物園にやって来るところから始まります。やがて、こどもは孔雀と連れ立ち、どこかほかの「どうぶつえん」へと繰り出します。こどもをさがしまわるママとパパ。動物との遊びに興じるこども。ページをめくるたびに、現実と虚構の境界が見えたり見えなくなったり…。
現代絵本の名プロデューサー、スージー・リーが提案するのは、絵本を遊ぶこと。1羽の孔雀が冒頭から結末までよみ手をエスコートして「どうぶつえん」を楽しませてくれます。




韓国と日本、親と子をつなぐ絵本

発起人・成末 奈穂(なるすえ・なほ)
私には2人の娘がいます。上の娘が生まれたその翌月から、私の父は、優れた絵本2冊が毎月届く定期便をプレゼントしてくれました。働く母親であり、娘が0歳のときから保育園に預け、毎日あわただしく過ごしていましたが、毎晩、娘が眠りにつく前に絵本をよみきかせていました。今、思い返しても、絵本のよみきかせは、こどもだけではなく、母親である私にとっても、とても穏やかな、本当に幸せな時間でした。 絵本の力を、身をもって感じている私としては、ぜひ、『동물원(どうぶつえん)』を日本語の絵本として世に出して、少しでも多くのお母さん・お父さんに手に取ってもらい、こどもと、絵本のある本当に幸せな時間を過ごしてほしいと思わずにはいられません。
スージー・リーの素晴らしい絵と、美しい日本語の絵本『どうぶつえん』で、ぜひ、親子の絵本タイムを充実させて頂きたいと思います。


発起人/翻訳・姜 汶政(かん・むんじょん)
私がこどもの頃の韓国社会はいわゆる漢江(ハンガン)の奇跡と呼ばれる急激な経済成長の狼煙をまさに上げようとしていた時代でした。そんな時代の波は地方にまではまだ及ばず、裕福ではなかった我が家ではこどもを幼稚園に入れるという選択肢はなかったようで、日常でも絵本に触れる機会はありませんでした。
絵本に対する昔の記憶を呼び起こしてみると、思い出すのはアンデルセンやイソップ、韓国昔話のような童話の本です。ですから、スージー・リーの現代絵本『동물원(どうぶつえん)』の登場はたいへん画期的な出来事でした。
留学・就職を機に始まった日本での生活も四半世紀を越えます。深い縁を築いてきた日本のこどもたちと大人たちに、ぜひこの素晴らしい絵本を届けたいと思います。


発起人/翻訳 松岡 礼子(まつおか・れいこ)
教師の解釈力の育みを目的として、大学の授業および幼稚園・小学校の教職員研修で積極的に現代絵本を活用しています。このたび、日本の若い人たちにもっとスージー・リー絵本の魅力を知ってほしいと考え、日本語版『どうぶつえん』の刊行を思い立ちました。
原動力は、故郷の釜山から幾度も大阪・愛知へと韓国絵本を運んでくれた共訳者・姜さんの誠意と、大阪の韓国渉外法律事務所で活躍中の弁護士・成末奈穂さんの文学への愛情です。長年、韓国と日本の架け橋として両国の平和友好に尽力してきた2人と志を同じくし、スージー・リー現代絵本の翻訳刊行に臨めることを心から誇りに思います。
絵本『동물원(どうぶつえん)』は、かつてこどもだった「わたし」とともに大人が興じることのできる絵本です。本作をきっかけに、スージー・リー現代絵本の魅力が日本でもより多くの人に伝わることを願います。


発起人:成末 奈穂(なるすえ なほ)
1974年、神奈川県横浜市生まれ、広島県三原市育ち。弁護士法人オルビス、パートナー弁護士。中央大学法学部卒業。大阪地方裁判所民事調停官(非常勤裁判官)歴任。







発起人:姜 汶政(かん むんじょん)
韓国・釜山出身。弁護士法人オルビス勤務。釜山東亜大学日語日文学科卒業。1999年、大阪教育大学大学院研究科修士課程国語教育専攻修了。








発起人:松岡 礼子(まつおか・れいこ)
1974年、愛知県生まれ。至学館大学附属図書館長。博士(教育学)。1999年、大阪教育大学大学院研究科修士課程国語教育専攻修了。2019年、広島大学大学院教育学研究科教育学習科学専攻教科教育学分野国語文化教育学領域修了。共訳・分担執筆に、松山雅子監訳(2018)『マルチモダリティ:今日のコミュニケーションにせまる社会記号論の試み』、松山雅子編(2021)『書くことの力をはぐくむマルチモーダル・アプローチ:自己認識としてのメディア・リテラシーをめざして』(ともに溪水社)あり。