「教えること」の概念を覆す
アクティブ・ラーニング実践65の手法
書名:教えない教え方 アクティブラーニングを実践する脳にやさしい授業と65のアクティビティ
著者:シャロン・ボウマン
訳:榎本明仁、鈴木美穂、清水弘毅
発行年:2024年5月
仕様:B5変形判/並製本/256ページ/1色
ジャンル:単行本・ビジネス・教育
ISBN:978-4-909125-49-1

私たちが行うすべてのことにおいて、

私たちは学ぶ側であり、教える側でもあります。

例外はありません。

著者:シャロン・ボウマン(Sharon Bowman)
・プロの講演者であり企業の講師
・学校や大学の職員の教育コンサルタントであり講師
・8つの研修やモチベーションに関する本の著者
・Bowperson Publishing & Training, Inc. の代表
・タホ湖のトレーナーグループのディレクター
・National Speakers Association(NSA)のプロフェッショナル会員
・American Society for Training andDevelopment(ASTD)の会員

シャロンが何をしている人なのか聞かれたときに彼女は「私は教師にどのように教えるのか、講師にどのように研修をするのかを教えています」と説明しています。彼女は経験豊富な講師であり、学習者が教室に入ったタイミングから退出するまでの間、面白く、気楽な雰囲気で、手を動かしながら学ぶ環境を作り、学習者を惹きつける研修をします。彼女の授業やセミナーは実践的で実際の現場で使える、記憶に残る、そして楽しいものとなります。彼女が書いた7冊の研修やモチベーションに関する本は累計7万部以上が印刷され読まれています。彼女の前作である「The Ten-Minute Trainer」は出版社のベストセラーとなりました。

もしあなたがシャロンの研修やカンファレンスでのセッションに参加したら、座っている時間より、動き回っている時間の方が長いはずです。そして、周りの人に自分が何をすでに知っているのか、そして新たに何を学んだのか共有していることでしょう。そしてシャロンは、この学びの環境を教室の後ろからガイドして行くのです。シャロンの本や研修に関する情報はwww.Bowperson.com を確認してください。そして、このウェブサイトでは、数十の効果的な研修や授業に関する記事を読んだり資料をダウンロードすることが可能です。また、もちろんメール(SBowperson@gmail.com)で連絡頂いても結構です。

眠くなる授業や研修をいつまでも続けますか?

本書は、企業研修講師として長年の経験を持つ著者が提案する、「講師が話すのではなく、生徒たちが中心になり学ぶ」研修の設計と提供方法についての本です。これが本書の核となる「4つのC」です。「4つのC」を使ってどのように授業を進めるか、また、それぞれのステップで、生徒たちが自主的に学ぶため65のアクティビティをどう使うかは本書で詳しく説明していきます。これらのアクティビティは、子ども向けのクラスでも、大人の研修でも、またオンラインクラスでも使えます。

講師が一方的に話せば学習者は眠くなります。生徒たちが教え合えば、眠くなることはありません。本書を読む前は、「新しく学ぶことを学習者同士が教えあうことは無理では?」と思うでしょう。しかし、著者によれば、コンテンツをどう提供するのかにかかっています。

最新の脳科学に基づいてどのように学習環境をつくるのか、明日からの授業で使えるアイデアを多数掲載した一冊です。



研修やセミナーの場で一番多く言葉を発しているのは?

本書では従来の「講師が話し、学習者が聞く」という常識を、「学習者が話し、動き、教え合いながら学ぶ」というパラダイムに変える考え方、また、この教え方を計画する為の設計フレームワークである「4つのC」とトレーニングで使える具体的な65の手法が紹介されています。いわゆるアクティブ・ラーニングに関する本には具体的な手法が提示されていることが少なく、迷われる講師の方も多いのですが、本書はアクティブ・ラーニングを実践する方法が数多く掲載されています。本書自体も、4Cの形式で作られており、ワークブックスタイルでどんどん書き込んで、まさに「読みながら身につく本」となっています。

著者のシャロン・ボウマンは30年以上にわたり、教師に教え方を教え、トレーナーにはトレーニングの仕方を教えてきました。プロのスピーカーであり、大学のコンサルタント、インストラクターとして活躍しており、トレーニングやモチベーションに関する著書が何冊もあります。シャロンのトレーニングプログラムに参加すると、座って聞くよりも、立って動いて話していることに気づくことでしょう。参加者達は自分が知っていることを他者に教え、彼らが知っていることを学びます。その間、講師であるシャロンは部屋の後ろから学習プロセスの全体をガイドしているのです。学習者が部屋に入ってから出ていく最後の瞬間まで、学習者の話をしっかりと聞き、学習者を研修に巻き込んでいきます。彼女のクラスは、独特でエネルギーに満ちあふれ、くだけていながらも実践的なアプローチを身につけることができます。実用的で、役に立ち、記憶に残り、そしてなにより、楽しいのです。

「研修やセミナーの場で一番多く言葉を発しているのは誰ですか?」
当然、講師になりますよね。

本書はその常識を覆します。

「受講者同士が教え合い、講師は教室の後ろで眺めている。受講者にとってはそれが一番の学びになる」
つまり、研修やセミナーの主体は、受講者にあるのです。
研修やセミナーの場で一番多く言葉を発するのは講師ではなく「受講者」ということになります。

講師が教えない? そんな魔法のようなことが可能なのかって??

できるんです。

ご興味が湧いたら、是非本書をお読みください。
「教えること」の概念を覆してくれるはずです。
この本は教える仕事をしている方々にとって、現場で使えるテクニックが多く含まれています。

・ どのように自分の研修やトレーニングを設計したら効果的か?
・ どのように参加型のセミナーができるのか?
・ アクティブ・ラーニングが良いのはわかるが、実際どうすれば良いのか?
・ 学習者にもっと楽しみながら学習をしてもらうには?
・ 学習者の記憶に残る授業やトレーニングをどう作ったら良いのか?

これらの問いに対して具体的なツールや方法を提示してくれ、研修やセミナーを設計する際に何度も参考にできる心強いパートナーです。研修やセミナーの設計に悩みを抱えている多くの方の助けになるでしょう。


発起人・翻訳チーム

榎本明仁(えのもと・あきひと)Odd-e
スタートアップでエンジニアから開発責任者になり、経営に参画、2008年ごろにスクラムに出会い自社にスクラムを導入、スクラムの良さをもっと世の中に広めたい、最高のチーム作りをサポートしたいという思いから2012年にOdd-e社(より良い開発のためのトレーニングやコーチングを提供している)に入社し、お客様と一緒に改善活動に取り組むアジャイルコーチとしての仕事をしながら、アジャイル、スクラム、大規模スクラムなどを教える活動を始める。人に教える難しさと楽しさに魅了され、トレーナーになるための勉強、海外のトレーナーとの共同トレーニングなどを多数実施していくなかで、経験豊富なトレーナーらからすすめられ、2018年に本書の著者であるシャロン・ボウマンのTBRトレーニングを受講し、その後、日本人として初めてのTBR のトレーナーとなる。


鈴木美穂(すずき・みほ)ヤフー株式会社
独立系ソフトウェア会社で官公庁や学校関係のシステム開発に従事後、ヤフー株式会社(現:LINEヤフー株式会社)に入社。サービスの運用開発を行っていくなかで、スクラムに出会う。スクラムの経験を通して人やチームの良い変化を感じたことからチームや組織の改善活動に興味をいだき、2014年ごろに部署異動し本格的にサービスのものづくり改善をメインに活動するようになった。アジャイル開発やプロジェクトマネジメントを中心に支援をする上で人に教える際に必要な考え方を学ぶ過程で、本書内のトレーニングを経験し魅了された。現在は本書の考え方を取り入れながら、日々の支援活動に活用している。
Scrum Alliance のCSP-SM、CSP-PO。



清水弘毅(しみず・こうき)Red Hat株式会社
Red Hat 株式会社シニアアーキテクト/アジャイルコーチ。オリンパスソフトウェアテクノロジーでプログラマとしてキャリアをはじめ、組織や会社間の縦横様々な壁を痛感し、チーム、組織論、マネジメント、リーダーシップを独学で学び、アジャイルに辿り着く。2014年ごろから親会社であるオリンパスを巻き込んだスクラムを実践。2017年にロボットベンチャーであるGROOVE X に大規模スクラムLeSS のスクラムマスターとして参画し、社内にスクラムやアジャイルを如何に楽しく効果的に伝えるかを模索、本書に出会う。2019年からRed Hat に入社し、アジャイルコーチとして日本のさまざまな企業に、Be Agile、スクラム実践のご支援をしている。その中で本書のエッセンスを散りばめたさまざまな研修を提供し、顧客から非常に高い評価を受けている。
Scrum Alliance のCertified Team Coach(CTC)認定。ORSCC。ICF-ACC。