研修やセミナーの場で一番多く言葉を発しているのは?
本書では従来の「講師が話し、学習者が聞く」という常識を、「学習者が話し、動き、教え合いながら学ぶ」というパラダイムに変える考え方、また、この教え方を計画する為の設計フレームワークである「4つのC」とトレーニングで使える具体的な65の手法が紹介されています。いわゆるアクティブ・ラーニングに関する本には具体的な手法が提示されていることが少なく、迷われる講師の方も多いのですが、本書はアクティブ・ラーニングを実践する方法が数多く掲載されています。本書自体も、4Cの形式で作られており、ワークブックスタイルでどんどん書き込んで、まさに「読みながら身につく本」となっています。
著者のシャロン・ボウマンは30年以上にわたり、教師に教え方を教え、トレーナーにはトレーニングの仕方を教えてきました。プロのスピーカーであり、大学のコンサルタント、インストラクターとして活躍しており、トレーニングやモチベーションに関する著書が何冊もあります。シャロンのトレーニングプログラムに参加すると、座って聞くよりも、立って動いて話していることに気づくことでしょう。参加者達は自分が知っていることを他者に教え、彼らが知っていることを学びます。その間、講師であるシャロンは部屋の後ろから学習プロセスの全体をガイドしているのです。学習者が部屋に入ってから出ていく最後の瞬間まで、学習者の話をしっかりと聞き、学習者を研修に巻き込んでいきます。彼女のクラスは、独特でエネルギーに満ちあふれ、くだけていながらも実践的なアプローチを身につけることができます。実用的で、役に立ち、記憶に残り、そしてなにより、楽しいのです。
「研修やセミナーの場で一番多く言葉を発しているのは誰ですか?」
当然、講師になりますよね。
本書はその常識を覆します。
「受講者同士が教え合い、講師は教室の後ろで眺めている。受講者にとってはそれが一番の学びになる」
つまり、研修やセミナーの主体は、受講者にあるのです。
研修やセミナーの場で一番多く言葉を発するのは講師ではなく「受講者」ということになります。
講師が教えない? そんな魔法のようなことが可能なのかって??
できるんです。
ご興味が湧いたら、是非本書をお読みください。
「教えること」の概念を覆してくれるはずです。
この本は教える仕事をしている方々にとって、現場で使えるテクニックが多く含まれています。
・ どのように自分の研修やトレーニングを設計したら効果的か?
・ どのように参加型のセミナーができるのか?
・ アクティブ・ラーニングが良いのはわかるが、実際どうすれば良いのか?
・ 学習者にもっと楽しみながら学習をしてもらうには?
・ 学習者の記憶に残る授業やトレーニングをどう作ったら良いのか?
これらの問いに対して具体的なツールや方法を提示してくれ、研修やセミナーを設計する際に何度も参考にできる心強いパートナーです。
本書が出版されることにより、研修やセミナーの設計に悩みを抱えている多くの方の助けになるでしょう。

「4つのC」フレームワークのリファレンスガイドと記入例
発起人・翻訳チーム
榎本明仁(えのもと・あきひと)Odd-e
スタートアップでエンジニアから開発責任者になり、経営に参画、2008年ごろにスクラムに出会い自社にスクラムを導入、スクラムの良さをもっと世の中に広めたい、最高のチーム作りをサポートしたいという思いから2012年にOdd-e社(より良い開発の為のトレーニングやコーチングを提供している)に入社し、お客様と一緒に改善活動に取り組むアジャイルコーチとしての仕事をしながら、アジャイル、スクラム、大規模スクラムなどを教える活動を始める。人に教える難しさと楽しさに魅了され、トレーナーになるための勉強、海外のトレーナーとの共同トレーニングなどを多数実施していくなかで、経験豊富なトレーナーの方々からおすすめされ、2018年に本書の著者であるシャロン・ボウマンのTBRトレーニングを受講し、その後、日本人として初めてのTBRのトレーナーとなる。
鈴木美穂(すずき・みほ)ヤフー株式会社
独立系ソフトウェア会社で官公庁や学校関係のシステム開発に従事後、ヤフー株式会社に入社。サービスの運用開発を行っていく中で、スクラムに出会う。スクラムの経験を通して人やチームの良い変化を感じたことからチームや組織の改善活動に興味をいだき、2014年ごろに部署異動し本格的にサービスのものづくり改善をメインに活動するようになった。現在はアジャイル開発やプロジェクトマネジメントを中心に支援をする上で人に教える際に必要な考え方を学ぶ過程で、本書内のトレーニングを経験し魅了された。現在は本書の考え方を取り入れながら、日々の支援活動に活用している。
Scrum AllianceのCSP-SM、CSP-PO。
清水弘毅(しみず・こうき)Red Hat株式会社
オリンパスソフトウェアテクノロジーでプログラマとしてキャリアをはじめ、組織や会社間の縦横様々な壁を痛感し、チーム、組織論、マネジメント、リーダーシップを独学で学び、アジャイルに辿り着く。2014年ごろから親会社であるオリンパスを巻き込んだスクラムを実践。2017年にロボットベンチャーであるGROOVE Xに大規模スクラムLeSSのスクラムマスターとして参画し、社内にスクラムやアジャイルを如何に楽しく効果的に伝えるかを模索、本書に出会う。2019年からRed Hatに入社し、アジャイルコーチとして日本の様々な企業に、Be Agile、スクラム実践のご支援をしている。その中で本書のエッセンスを散りばめた様々な研修をご提供し、顧客から非常に高い評価を受けている。
Scrum AllianceのCertified Team Coach(CTC)認定。ORSCC。ICF-ACC。