自分の限界を決めない!
虐待、暴力を乗り越えて世界のラグビー選手へ
パパもママも大好きだけど、家庭は心安らぐ場ではなかった。アルコール依存症のパパと、家庭内暴力に苦しむママの元で、子ども時代からルビーは生き延びることに必死だった。それでも道を誤らなかったのは、祖父母をはじめとするサモア側家族の豊かな愛情、そして得意なスポーツのおかげだった。
やがでラグビーに出会い、自分の居場所を見つけるが、女子ラグビーで食べていくのは夢のまた夢の時代。だが、ルビーはあきらめない。次から次へと襲う困難にも常に自分に正直に全身全霊で立ち向かっていく。
いつも本気で生き抜いて夢を形にしてきた、最高に強く輝いているルヴィー・トゥイの半生。
これはルビー・トゥイの物語。困難ばかりで不安定だった幼少期から、人生のためにより良い選択を求めて必死にもがき続けた経験、そしてオリンピック金メダル獲得から世界一のラグビーセブンズ選手に選ばれるまで。オープンに、彼女の生の言葉で赤裸々に綴られた物語。
決して楽ではなかった子供自体を経て、ルビーは新たな道を見つける。子供の頃に耐え抜いた暴力、薬物が周りにある環境、その他の数えきれない災難が将来に悪影響を与えないためにした血のにじむような努力、そして世界で最も成功した女子ラグビー選手になるまでの道のり。
世界で女子ラグビーが著しく発展した波にルビーのキャリアも乗り、アマチュア選手からプロ選手へ。
「ストレートアップ」は彼女自身が過去の自分としっかり向き合い、トラウマになるような経験を目的達成への原動力に変えられる事を理解し、実行した経緯が語られた、一人の人間の物語。
今こそマジ(Straight up)になる時。
ラグビーファンに、アスリートを目指す女性達に
ルビー・トゥイの言葉を伝えたい
発起人・阿辻香子(あつじ・きょうこ)
私と女子ラグビーとの出会いは2019年。2019年ラグビーワールドカップの研修を兼ねたワールドラグビー女子セブンズシリーズ北九州大会でイングランド代表チームのリエゾン(帯同日本人スタッフ)の仕事をしました。ニュージーランド滞在が長かったものの運動音痴な私はラグビーのプレー経験はなく、女子ラグビーに関しては全く無知で不安だらけでした。
そんな中出会ったのは、フレンドリーでかわいい普通の女の子たち。空き時間には近辺のカフェに行き、ラテアートをSNSでシェアするような普通の女子が、練習時は重い重量を上げ、激しいタックルをこなし、試合になると全員が本気で勝ちを狙いに行く様子を目の当たりにし、気づいた時には女子ラグビーのファンになっていました。その後2022年ニュージーランドで開催された女子ラグビーワールドカップの仕事に採用され、日本代表チームとその他数カ国のSNSコンテンツ作成を担当しました。
世界的に見てもラグビーは男子がメインで、大会開催当初は視聴率が低かったこの大会が、女子ラグビーの情熱と試合のクオリティの高さが徐々に話題になり、決勝に近づくにつれて大注目を浴るようになった様子を現地で体験しました。そんな中、全ての選手の中で一番目立っていたのがルビー・トゥイ選手。国を去る前に同年9月に出版された彼女の自伝を買って読んだところ、今の彼女からは想像できないような壮絶な子供時代、そしてこの10年間のニュージーランドの女子ラグビーの発展に関して語られてる本でした。金メダリストでワールドカップ優勝チームの選手である彼女が、子どもの時は環境のせいで鬱状態だったことは自分にも重なる部分があり、乗り越えるための努力や考え方は私の心に強く響きました。
また、今では男子ラグビーと同等の扱いを受けているニュージーランド女子ラグビーが、10年前はアマチュアチームだった事など、女子スポーツの厳しさを改めて理解する事もできました。日本でもまだまだ注目されにくい女子ラグビーが今後さらなる発展を遂げる手助けと、ルビーの生の言葉、厳しい環境にも負けず諦めなかった彼女の気持ちを日本の方、特に日本の女性スポーツ選手の方々に届けたい。そう強く思い、翻訳出版をすることを決意しました。ラグビー選手はもちろんファンの方々、そして女性アスリートを応援したい方に読んでいただきたい一冊です。