日韓コラボで書籍化されたボーイ(ズ)ラブコミックに
新たなコンテンツを追加!!
書名:キミのセナカ(너의 뒤에서)
著:野原くろ
デザイン:6699press(韓国)
発行国:日本・韓国
発行年:2019年
ジャンル:コミック
ISBN:978-3899777468
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著:野原くろ
ニューヨーク、Pratt Instituteでイラストを学び(中退)、1995年12月雑誌“薔薇族(96年2月号)”で漫画家デビュー。その後、イラストレーターとして活躍しながら、古川書房から単行本『ミルク』全3巻を刊行、雑誌「Badi」の連載などでも作品を発表し続け、現在は単行本『下宿のお兄さん』が6巻まで刊行中、また新作『玄太はオレが好き』を雑誌「サムソン」に連載中。韓国の6699pressが制作した『キミのセナカ』は韓国、台湾で出版されており、フランスでも電子書籍で連載中、今後書籍化が予定されている。バンドcali≠gariのギタリスト桜井青と「くろとあお」でも活動中。

制作・デザイン:イ・ジェヨン(6699press)
弘益大学でビジュアル・デザインを学び、2012年からグラフィックデザインスタジオ兼独立出版社の6699pressを運営する。 先輩や同級生の女性グラフィックデザイナーたちが、しばらくすると次々と仕事を辞め、別の人生を選んでいくことに疑問を持ち、なぜ女性たちが仕事を続けられなくなるのか、韓国で女性グラフィックデザイナーとして生きていくのはどういうことなのかを、22人11組の女性たちに対談形式で語ってもらった本『韓国、女性、グラフィックデザイナー11(한국, 여성, 그래픽 디자이너 11)』。
可哀想な存在としてステレオタイプに描かれがちだった脱北してきた若者たち。彼らが撮った写真や絵を織り交ぜながら、ともに暮らすソウルの街のことを語ってもらうことで、等身大の彼らと分断国家で生活する意味を問う本『私たちはソウルに住んでいる(우리는 서울에 산다)』など、同時代を生きるマイノリティ個人の物語に焦点をあて、これまでに11冊の書籍を出版している。6699pressの「6699」は、引用符の“”を表しており、社会に必要な言葉、大切な言葉に引用符“”をつけて可視化するという意味が込められている。

「結婚しない若者が増えたとかーー
テレビのニュースで見る度にホッとする」

 地方の小さな町で暮らすタケルは、そんなことを思う高校生。
同級生の友人たちは女性アイドルやグラビアの話に浮かれ、大人たちは結婚して家庭を持つことが一番の幸せと信じている。



「この町にぼくの居場所はないって」

 自分が他の人と違うことを誰にも打ち明けることができず、早く町を出たいと願っていたタケルのもとに、夏休みまぢかのある日、転校生として幼なじみのコウタロウがやってきた。柔道が好きで、心も体もおおらかなコウタロウと日常を過ごす中で、タケルの心はときめきはじめる。



「居場所なんて、大事に思えるヤツがひとりいたら、
そこが居場所になんだよ、きっと」

 夏休み、プールサイドでコウタロウにそう言われ、自分の居場所がここにあることに気づいたタケル、勇気を出してコウタロウに自分の気持ちを告白する……



日本の漫画家と韓国のデザイナーのコラボレーションから生まれた
とても美しい装丁の宝物のようなボーイ(ズ)ラブコミック

 世の中に届いていないマイノリティの声を可視化することを目的に、デザイン性が高い優れた本を制作する韓国の6699pressは、デザイナーのイ・ジェヨンさんが一人で運営している独立出版社。

 日本と同じように性的マイノリティのカミングアウトが簡単ではない韓国で、6699pressが2015年に出版した本『六つ』は、あなたの友達の中にも性的マイノリティは存在するということを、読者が紙面上で経験できるように作られた画期的な内容でした。その中の一編として、ジェヨンさんから日本の漫画家・野原くろさんに、カミングアウトをテーマにした書き下ろし短編を依頼したことがきっかけで、素敵な日韓のコラボレーションがはじまります。

 その後、野原さんは物語の続きを描き上げ、6699pressはクラウドファンディングで資金を集めました。そして2019年、とても美しい装丁の宝物のような1冊『キミのセナカ』が誕生しました。

 出版後、韓国では多くの読者から感動したという反響が寄せられ、「カミングアウトと友達」についてもう一度考える契機になっているそうです。さらに2020年には同じ装丁で、台湾版が出版され話題になっています。また、フランスでは電子書籍としてWeb連載中で、後に書籍化が予定されています。



あの頃を思い出して胸が痛くなるけれど、
こじらせてしまった大人にも優しい物語。

発起人:loneliness books 潟見陽より

 『キミのセナカ』をはじめて読んだ時、すっかり忘れていたあの頃を思い出さずにはいられませんでした。待ち合わせて帰った通学路、川べりに並んで夕焼けを観たこと、一緒に自転車に乗って走ったこと……そして主人公のタケルがコウタロウを遠ざけたように、僕も彼を遠ざけたこと。タケルはちゃんと告白し、コウタロウと向き合ったけれど、チキンボーイの僕はただその場から逃げた、普通じゃないことが怖くて、ちゃんと言葉にして伝えることができなかった。高校生二人の些細な日常の物語に、こんなにも心が揺さぶられるなんて、記憶の彼方にある、今もくすぶっている後悔を思い出して、胸の奥がじんじんと痛みました。

 もしあの頃、このコミックに出会っていたら、僕は告白(カミングアウト)する勇気を持てたのだろうか。それはわからないけれど、ひとりぼっちじゃないことに気づき、もっと早く、ありのままの自分を肯定できたような気がする。その後は人並みに恋愛をして、もしかしたら素敵なパートナーだってできていたかも(ここは大いなる妄想ですが)。

 だから今、若いあなたにぜひ『キミのセナカ』を贈りたい。誰を好きになってもならなくても、それはけっして変なことじゃない「大丈夫だよ」と語りかけてくれる。幸せな未来を思い描くための「勇気」を見つけることができる物語です。

 大人になってしまったあなたは、男性でも女性でも、もしくは他の性でも、誰かを好きになったときのドキドキ、自分にもあったかもしれない瑞々しい気持ちを思い出すことができるかもしれません。付け加えるなら、ビターで切ない気持ちも一緒に。もし胸の奥でくすぶっている後悔を見つけたら、どうかそっと許してあげてください。

 日本と韓国のコラボレーションで生まれた、本当に美しい装丁の宝物のようなボーイ(ズ)ラブコミック『キミのセナカ』。ぜひ多くの人に届きますように。

loneliness books代表 潟見 陽(カタミ ヨウ)
グラフィックデザイナー。アジアのクィアをテーマにした出版物を収集し販売するライブラリィ&ブックストア「loneliness books」を運営している。ソウルのゲイコーラスグループG-voiceの活動を追ったドキュメンタリー映画『Weekends』の上映・配給も行っ ている。
https://qpptokyo.com/