『リズムがみえる』は、ダイナミックな絵とリズミカルで詩的な文章で、アフリカ系アメリカ人の音楽の歴史を紐解くユニークな絵本。
黒人音楽のルーツである16世紀のアフリカ音楽から始まり、奴隷歌、ブルーズ、ラグタイム、初期のジャズ、スウィング、ジャズ・ウーマン、ビ・バップ、クール、ゴスペル、R&B/ ソウル、ファンク、そして、現代のラップ/ヒップホップという流れを、キング牧師の演説などの歴史的な出来事や、モータウン・レコードの設立などの音楽シーンの動向と共に理解することができます。 そして、文章中にはところどころに『say it loud i'm black and i'm proud』などの有名な曲名が織り込まれており、これには音楽ファンも納得。
アメリカ南部の大農園での労働歌のリズム。ニューオーリンズのバルコニーから見るジャズのリズム。ハーレムのクラブ・サボイではスイングのリズムに乗って踊ろうと誘い、日曜の朝の教会の信者席でゴスペルのリズムを聞く喜びを分かち合おうと招待される。そして、現代のヒップホップへと続く本書は、読者を時を超えた音楽の旅に連れて行ってくれます。
コレッタ・スコット・キング賞、多文化児童書賞、ジェーン・アダムス絵本賞受賞作。
翻訳:金原瑞人(かねはら みずひと)
1954年岡山市生まれ。法政大学教授・翻訳家。児童書やヤングアダルトむけの作品のほか、一般書、ノンフィクションなど、今までに500作品を超える翻訳を手がける。訳書に『豚の死なない日』『青空のむこう』『国のない男』『不思議を売る男』『バーティミアス』『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』『さよならを待つふたりのために』など。エッセイに『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』『翻訳のさじかげん』など。日本の古典の翻案に『雨月物語』『仮名手本忠臣蔵』『怪談牡丹灯籠』。
(写真:根津千尋)
監修:ピーター バラカン
1951年ロンドン生まれ。ロンドン大学日本語学科を卒業後、1974年に音楽系の出版社の著作兼業務に就くため来日。現在フリーのブロードキャスターとして活動。「バラカン・ビート」(インターFM)、「ウィークエンド・サンシャイン」(NHK-FM)、「ライフスタイル・ミュージアム」(TOKYO FM)、「ジャパノロジー・プラス」(NHK BS1)などを担当。
ラジオの電波を通じて常に多様な音楽を紹介する長年の姿勢が認められ、2012年度ギャラクシー賞のDJパーソナリティ賞を受賞。
著書に『ロックの英詞を読む 〜世界を変える歌』(集英社インターナショナル)、『ラジオのこちら側で』(岩波新書)、『ピーター・バラカン音楽日記』(集英社インターナショナル)などがある。
http://peterbarakan.net