理不尽な世界で「自分らしく」生きる!
フランス発の痛快ラブコメマンガ!
書名:男の皮の物語
作:ユベール
画:ザンジム
訳:井田海帆
発行年:2025年9月
仕様:B5変型判/168ページ/4色/並製本
ジャンル:単行本・グラフィックノベル・フィクション
ISBN:978-4-909125-66-8


私はこの経験を絶対後悔しない

愛を知れたんだもの

後悔するわけない

ロレンツォの皮を着て

初めて生きてるって

実感できた

作:ユベール(Hubert)
1971年フランスのサン= ルナン生まれ。本名ユベール・ブラール。バンド・デシネ原作者、カラリスト。原作者としての代表作に、『Miss Pas Touche(ミス・ドント・タッチ・ミー)』(ケラスコエット作画、2006-2009年)、『Beauté(美)』(ケラスコエット画、2009-2011年)、『La chair de l’Araignée(蜘蛛の肉)』(マリー・カイユー画、2010年)、『Monsieur désire ?(ご用でしょうか、ご主人様?)』(ヴィルジニー・オーギュスタン画、2016年)、『Les Ogres-Dieux(鬼神)』(ベルトラン・ガティニョル画、2014-2020年)などがある。フランスで同性婚の法制化に関する投票がおこなわれた2013年にはアンソロジー『Les Gens normaux –paroles lesbiennes gay bi trans(普通の人々―レズビアン、ゲイ、バイ、トランスの言葉)』の脚本と監修を手がける。2020年2月12日、『男の皮の物語』のフランス語版が発売される目前にパリで死去。

画:ザンジム(Zanzim)
1972年フランスのラヴァル生まれ。本名フレデリック・ルトゥリエ。バンド・デシネ作家。1999年刊のアンソロジー『Comix 2000』に参加後、2002年にユベールが原作を手がけた『Les Yeux Verts(緑の目)』(2002-2004年)でバンド・デシネ作家として本格的にデビュー。そのほかユベールとの共著に、『La Sirène des Pompiers(画壇のセイレーン)』(2006年)と『Ma Vie Posthume(私の死後の世界)』(2012-2013年)などがあり、ユベールが脚本と監修を手がけたアンソロジー『Les Gens normaux – paroles lesbiennes gay bi trans(普通の人々―レズビアン、ゲイ、バイ、トランスの言葉)』(2013 年)にも参加。最新作に『Grand Petit Homme(偉大なる小人)』(2024年)がある。2020年6月に刊行された『男の皮の物語』の原書はフランスで20万部以上を売り上げ、ACBD批評グランプリ2021、RTLバンド・デシネ・グランプリ2020、ポワンBD賞2020など数々の賞を受賞している。

訳:井田海帆(いだ・みほ)
神奈川県出身。国際基督教大学教養学部卒、パリ第7大学(現パリ・シテ大学)言語学修士課程修了。帰国後、編集プロダクションで専門書の翻訳・編集に、映像制作会社で字幕・吹き替えの翻訳に従事した後、幅広い分野の英日・仏日翻訳に携わる。在仏中からフランス本土以外のフランス語圏に特に興味を持つようになり、現在はカナダ・ケベック州のフランス語と文化に対する理解を深めるべく、ケベックのバンド・デシネを研究中。

男になれる「皮」を手に入れた18歳のビアンカ。
親が決めた許嫁はなんとゲイ!! しかも男になったビアンカと…!?
果たしてビアンカは「幸せ」を掴みとれるのか!?

ルネッサンス期イタリア。名家に生まれたビアンカは18歳を迎え、親同士の取り決めで、青年ジョヴァンニと婚約する。いくら世間知らずの箱入り娘とは言え、ビアンカは何も知らない相手と結婚することにどうも納得がいかない。不満をもらすビアンカに、伯母がそれならと、あるものを差し出す。

それこそ、先祖伝来の家宝、女を男にしてしまうという世にも珍しい「男の皮」だった。実際に身につけてみると、あら不思議、ビアンカはたちまち浅黒い肌の美男子に。

男の皮をかぶり、ロレンツォとなった彼女は、将来の結婚相手を吟味すべくジョヴァンニに近づく。ところが、ジョヴァンニはゲイで、あろうことか、その正体がビアンカだと知らずに、ロレンツォに恋をしてしまう。

こうして、ビアンカとロレンツォ、ジョヴァンニの間に奇妙な三角関係が始まる――。

「女」と「男」、両方の人生を体験して自由と広い視野を手に入れた彼女の行く手に立ちふさがるのは、聖職者で超絶ストイックな兄アンジェロ!
ちょいちょい女性蔑視発言がヤバい兄だったが、その言動はますますエスカレートしていく!

果たしてビアンカは周囲から押し付けられるジェンダーの呪縛を振りほどき「自分らしく」生きることができるのか!?
理不尽な世の中にジレンマを感じるすべての人に捧げたい、フランス発の痛快ラブコメマンガ!












海外マンガ専門店を始めて5年。
自信を持ってオススメする面白い海外マンガを日本に紹介したい!

発起人:森﨑雅世(もりさき・まさよ)より

私が初めて海外マンガに出会ったのは2016年に開催された「ルーヴルNo.9展」。フルカラー。大判サイズ。芸術性……。これまでも日本のマンガが大好きでしたが、そのときに見たバンド・デシネ(フランス語圏マンガ)に大きな衝撃を受けました。
日本のマンガとはまた違う海外マンガを知ってもらいたい。そんな思いから2019年7月に始めたのが海外マンガ専門のブックカフェ書肆喫茶moriです。

店を始めたのには裏の目論見もありました。
私は語学ができません。バンド・デシネ読みたさにフランス語を勉強中ですが、基本は翻訳アプリなどを駆使しながらどうにかこうにか原書を読んでいます。
店をやることで少しでも海外マンガが好きな人が増えたら、日本語訳される海外マンガも増えるのではないか。
それは誰得って、確実に私得。
店舗で実際に海外マンガを読んでもらうだけでなく、イベントを開催したり、邦訳海外マンガの販売を始めたり、SNSや情報誌などで海外マンガ情報を発信したり、挙句の果てにはユーチューバーになったり、ポッドキャストを始めたり……。思いつくままに海外マンガを知ってもらうための活動を続けてきました。

それから5年。
果たして、海外マンガの普及に少しでも貢献できているのか。どうなのか。
まったくもって自信はありません。

ただひとつだけ確実に言えることがあります。
それは、翻訳されてほしい海外マンガが増え続けるばかりだということ。
SNSで「翻訳されてほしい」と叫び続けたり、出版社さんや翻訳者さんとお話しするたびに「こんな面白い海外マンガがありますよ」と紹介したりするものの、そう現実は甘くありません。

私にも何かできることはないのか。

サウザンコミックスさんの企画はもちろん、海外のプロジェクトにもしばしば参加している私にとって、マンガを出版する手段としてクラウドファンディングは強力な手段だと感じていました。

よし私もいっちょクラファンをやってみよう。

『Peau d'Homme(男の皮)』は、私の中の「翻訳されてほしい海外マンガ」リストから厳選した1冊です。
フランス語がわからないながらも没頭して読みました。

とにかくストーリーが面白く、ボリュームも手ごろで、キャラのデフォルメ感はいわゆる日本のマンガとは異なるけど親しみやすい画風で、女の子が男の子になってしまうという設定もなんとも刺激的だし、フランスでも高く評価されていて、ジェンダーやセクシャリティを考える上でも良書で、主人公がとっても可愛くて、道徳的な内容を描きつつも全くもって説教臭くなくエンタメとして楽しめ、マンガ表現としても面白い箇所があり、ルネッサンス期のイタリアを舞台にしていながら現代の日本社会にも通じる不条理さが描かれ、恋愛とか友情とかって何だろうと思索を巡らせたくなるし、フェミニズム的な観点も押さえられていて、理不尽な世の中にノーを突きつける主人公の姿に快哉を叫びたくなるような痛快な読後感で、とにかくストーリーが最高に面白い(大事なことなので2回言った)。

この最高に面白いマンガを、多くの方と共有したい。
どうかみなさま、ご支援よろしくお願いします。

kawano発起人:森﨑雅世(もりさきまさよ)
2019年に海外マンガ専門ブックカフェ「書肆喫茶mori」オープン。海外マンガの面白さを日本で広めるべく、SNS、ブログ記事情報誌、YouTubeなどで情報発信しています。バンド・デシネ翻訳者でサウザンコミックス編集主幹の原正人さんとポッドキャスト「海外マンガの本棚」「海外マンガRADIO」のパーソナリティを務めています。
HP:書肆喫茶mori
X(旧Twitter):@shoshikissamori
Instagram:@bookcafe_mori
Bluesky:@bookcafemori.bsky.social
YouTube:@bookcafe_mori