スキーの世界がまるわかり
スキーがもっと好きになるストーリー
書名:100%ski 学べる絵本でスキーがもっと好きになる
文:ギヨーム・デミュール
絵:ローラン・オードゥアン
訳:清水幸子
発行年:2025年1月
ジャンル:児童・実用・スポーツ
仕様:B5変型判/116ページ/並製本
ISBN:978-4-909125-57-6

雪があるところなら世界中どこでもスキーができる!

大きなスキー場でも、小さなスキー場でも、バックカントリーでも、

スキーはいろいろなところで楽しむことができます。

文:ギヨーム・デミュール(GUILLAUME DESMURS)
アウトドアと山岳の分野に特化したジャーナリスト。フランス通信社でキャリアをスタートし、その後、フランスの多くのスキーと山岳の雑誌で編集長を歴任した。主な著書に、『スキーリゾートの叙事詩(Epopée des stations de ski)』や『スキーの歴史(Une histoire du ski)』、さらに『高台の復讐(La Revanchedes hauteurs)』(いずれもグレナ社刊)がある。また、ブランドムービーをいくつか制作していて、オートラン山岳映画祭で審査員賞を受賞した経験もある。さらに、文学に関するブログ「motsacredit.com」を運営している。

絵:ローラン・オードゥアン(LAURENT AUDOUIN)(ローラン・オードゥアン)
イラストレーター。応用美術学校を卒業後、多くの児童書のイラストを手がけ、アンコリュプティブル賞やモリエール賞など、数々の賞を受賞している。代表作に『ミレットの探偵事件(LesEnquêtes de Mirette)』(サルバカーヌ社)、『サクレ・クールの冒険(Les Aventures de Sacré Coeur)』(プティ・レザール社)、『ミッション・オーシャン(Mission océan)』(グレナ社)など。学校を訪れ、若い読者たちと会い、自身の仕事の舞台裏について話すことを何よりも楽しみにしている。

歴史やオリンピックから気象学まで
スキーに関する全てがひとつにまとめられた究極の一冊

 スキー場のある村に住むジョイスとコランとマテオの3人は幼なじみ。スキーが大好きな3人は、スキー教室で毎日練習にはげんでいます。そんなある日、3人はスキーをしているうちにクラスのみんなとはぐれてしまいますが、古めかしい金属製の箱を見つけ――。

 ジョイスとコランとマテオの3人の小さなスキーヤーたちの冒険ストーリー「バランベールの宝物」。スキーの歴史からスキーの種類、スキーウェア、オリンピックまで、役に立つ知識がつまった「スキー大百科」。そして、クイズやパズル、まちがい探しなど30以上のゲームを集めた「ゲームでスキーを楽しもう」。多面的にスキーをとらえ、子どもから大人までスキーがもっと好きになる1冊。

 フランス本国では子ども用に出版されている本のため、かわいいイラストとわかりやすい文章でとても読みやすい。また技術書ではなく、第1章はスキーにまつわる物語から始まり、第2章からは見開き1ページごとに完結した内容で、例えば世界の山々とスキーリゾートの特徴、スキー発祥の歴史、スキー板の製造、雪崩やヘリでの救助など18のカテゴリーに分けて紹介されています。最後の第3章は特に大切な部分をクイズやクロスワードなどを解きながら楽しく学べる学習ページになっています。



3人の子どもたちが宝物を探して雪山を冒険するストーリーが描かれています。 氷河を滑る場面では雪崩のレベルを事前に確認することや、オフピステを滑る時にはビーコンとショベルとプローブが必要など【雪山に関する知識】が一緒に学べるように構成されています。




スキー発祥の起源から現代に至るまでの【スキーの歴史】がわかりやすいイラスト付きで説明されています。




児童書ではなかなかお目にかからない【スキーの構造】が子どもでもわかりやすい内容で説明されています。大人でも勉強になる内容です。


  

第3章は様々なクイズが用意されています。条件にあったファッションを探し出すクイズ、スキーレースを舞台にした簡単な計算クイズ、間違い探しなど。


スキーの新しい魅力を再発見!!
スキーって広くてすごい世界だと改めて実感

発起人・清水幸子(しみず ・さちこ)

 この本との出会いは、フランスのバルディゼールスキー場の書店で見つけた1冊の本を購入したことからスタートしました。帰国後、本を読み、子ども向けの本とは思えない内容で、世界中のスキーについて書かれていることに驚きました。もちろん日本のことも紹介されており、「こんな本は日本でみたことがない、スキーを何十年と滑ってきているのに知らないことがたくさん書かれている」と 読めば読むほど知識が膨らみ、これはぜひ日本の子どもたち、そしてスキー愛好家の方々にも伝えたい内容だと思い、フランスの出版社にレビュー投稿したところ、「日本で翻訳出版してみたら」と1通のメールが届き「ハッ」と思い立ちました。

 日本にはスキーやスノーボードに関する技術書や、スキー場へ出かけるための情報誌はこれまでたくさんありましたが、この本のように、スキーを楽しむ側、スキー産業で働く側など多方面からスキー界をまるっとちょうど良くまとめられている本は見たことがありません。

 この本では、世界のスキーリゾート、スキーの歴史、気象学(雪崩など)、スキー場の仕事・運営・乗り物・ルール、スキー用品(材質や構造)、競技の種類、選手の1日、スキーに関する様々なクイズ(リフトの最終営業時間、乗車時間、コースレベルが記載されたコースマップから時間までに目的地へ行くルートを考える)などがわかりやすく説明されています。ぜひスキーに出かけた旅先の部屋で、またご家庭で読んでいただきたい、スキーがもっとしたくなるそんな一冊です。

 小さな一歩ですが、本書はスキーをレジャーとして捉えるだけでなく、スキー産業を全方位的に学べる学習書になっており、スキー業界の今後の人材育成や産業発展に少なからず寄与できるのではないかと思っています。
 すでにスキーライフを楽しんでいる方、これからスキーをはじめてみたい方、そしてスキー業界関係者の方など、様々な方々からのご支援をよろしくお願いいたします。


発起人・清水幸子(しみず ・さちこ)
スキーの文化や歴史について研究。名寄市立大学教養教育部所属、専門領域はスポーツ科学。子どものスキーやジュニア選手の指導にも携わる。著作活動として『体育・スポーツ・健康概論』(分担執筆、ナカニシヤ出版、2023年)、『日本スノーボード教程スノーボードダイバーシティ』(共著、芸文社、2024年11月刊)。名寄新聞スキーコラム「シュプールを描いて」連載。