アントニオ猪木が最も苦戦したレスラー
雄牛との闘い、自分自身との闘い
私には、あの死闘の記憶が今でも鮮やかに蘇る。
戦友・アントニオ猪木との戦い、私の人生に刻まれた忘れ難い瞬間。
ドイツから日本の読者に熱い思いを届けたい。
ローラン・ボック
貧困の少年時代を経てアマレス欧州王者、オリンピック出場を果たす。プロに転じ、アントニオ猪木との死闘で名を刻む。だが、その結末は逮捕・収監。そこから実業家として奇跡の再起。“ディスコ王”と称されるも波乱は続く。東南アジアへ移住するも、事業失敗と感染症により帰国。そして新たな挑戦へ−−−壮絶な生涯を描いた一冊。
ボックは、まだ人生を諦めていない。
著者は、自身も熱烈なプロレスファンで、体操選手キム・ブイのアスリート人生を描いた『45 Sekunden - KIM BUI』がシュピーゲル誌ベスト・セラーに選ばれたジャーナリスト、アンドレアス・マトレ。
「幻の最強レスラー」ボックの足跡を日本のプロレス史に残したい
発起人・翻訳:沢田 智(さわだ・さとる)より
アントニオ猪木を極限まで追いこんで勝利した「ローラン・ボック」を私は1980年代に入ってから知りました。真の世界チャンピオンを決める新日本プロレスのIWGP構想に向け、プロレス中継で古舘アナがボックの話題に触れ、雑誌でも「まだ見ぬ強豪」として取り上げられるようになった頃です。
そして初来日。木村健吾戦、長州力戦の衝撃。一切妥協を許さないローラン・ボックの闘い。猪木との完全決着が待ち望まれながら、突然の引退。その後、ボックに関する情報は更新されることなく、最強幻想だけが生き続けました。ローラン・ボックについて、同じような感覚で決着のついていない「昭和プロレスファン」は多いのではないでしょうか?
2021年にドイツでローラン・ボック自伝が刊行されると、日本でも翻訳出版が期待されました。しかしその動きは無く時間ばかり経過する中、原書を購入してでも読みたいと思うに至りました。そもそも私はプロレスファンなので、1978年の欧州選手権ツアーの項目だけを読むつもりでしたが、最強の男に成長した経緯、なぜ突如引退し、その後はどう生きたのか、次から次へと興味が湧き、一気に読み進めました。
この本の感動を多くの人と共有したいと思い、ブログ等で紹介してきました。そして翻訳出版の可能性を探りましたが、ニッチな分野の本の出版については出版社は消極的です。そこで「クラウドファンディング」での出版を企画するに至りました。
「ローラン・ボックとは何か」を探している昭和プロレスファンの力で、「幻の最強レスラー」を再発見し、ボックの足跡を日本のプロレス史に残していきましょう。