収容所を生き残った人たちにとって
戦争はまだ終わってはいなかった
書名:What Papa Told Me
著:フェリス・コーエン
発行国:アメリカ
言語:英語
発行年:2010年
ジャンル:ノンフィクション
ISBN:978-06-15372-88-4
  • ただいまプロジェクト実施中。4/15までにクラウドファンディングの目標150万円達成で出版決定! 詳細は下記ボタンから。
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フェリス:今でも当時のことを夢に見てうなされたりする?

パパ:ときどきあるよ。ふだんは考えないようにしているんだが、息苦しくて朝目が覚めるときもある。そんな時はすぐに外へ出て深呼吸をしないと大変なんだ。(やや間があって)行かされたあちこちの強制収容所で私がどう生き抜いてきたのか、1つの話にまとめて欲しいんだ。

フェリス:わかったわ、パパ。きっとそうする。

著者:Felice Cohen(フェリス・コーエン)
ホロコースト生存者2人を祖父母に持つ。本書『What Papa Told Me』はイスラエルのホロコースト犠牲者追悼記念館ヤド・ヴァシェムの公認となっている。執筆業のかたわら、ホロコーストの教育活動を行っている。

強制収容所の凄惨な体験を語り継ぐ
終戦を迎えても終わらない戦争

『What Papa Told Me(仮:パパが教えてくれたこと)』は、パパことユダヤ人のミュレイ・シュワルツバウム氏が、8つの労働収容所や強制収容所でホロコーストを生き抜き、そしてアメリカで新たな生活を始めた半生を、孫娘のフェリス・コーエン氏がまとめた1冊。

これまで“パパ”は、強制収容所での生活とその後の人生について子どもや孫たちにも話そうとはしてこなかった。それは、あまりにつらい出来事が多かったからだ。しかし自身が老境に入り、家族や1人でも多くの人にそうしたことを伝えるべきだと考え本書が誕生した。

パパはポーランドで材木所を経営するユダヤ人の家庭に生まれた。いつか材木所を父から引き継ぐことを夢見て仕事を手伝っていたが、ドイツ軍がポーランドに侵攻してきたことで生活は一変してしまう。そしてゴゴリン労働収容所に連行されて過酷な毎日が始まり、さらに複数の強制収容所で死と隣り合わせの日々を生き抜く。

終戦を迎えてパパはようやく外の世界での生活を始めた。仕事に就き結婚をして子どもを授かるが、同じ収容所の生き残りである妻は戦時中の思い出のために心を病んでしまい、その後、自死を選択してしまう。収容所を生き残った人たちにとっての戦争は、まだ続いていたのだ。

『What Papa Told Me(仮:パパが教えてくれたこと)』は刊行後数万部を売り上げるだけでなく、複数の図書賞で佳作を受賞し、イスラエルのホロコースト犠牲者追悼記念館ヤド・ヴァシェムの公認書に選ばれている。またポーランドでは、ホロコーストについての学校の授業の教材となっている。

【受賞歴】
2011年 エリック・ホッファー図書賞 佳作
2011年 ニューヨーク・ブックフェスティバル 佳作

【作家・エリ・ヴィーゼルのレビュー】
生き残った人の子どもや孫たちにも、伝えるべき物語がある。本書はまさにそうだ。どの話も肺腑をつくものばかりだが、それだけではない。あの出来事とはなんだったのか、人類にとっていかなる意味と結果をもたらしたのかを知るために大きな役割を果たす。


「何としても生きろ」
現代をサバイブする私たちへのメッセージ

発起人 土橋 啓之より

『What Papa Told Me』は、パパことユダヤ人のミュレイ・シュワルツバウム氏が自身の半生を振り返り、それを孫娘のフェリス・コーエン氏がまとめた本です。

私は普段、海外の英文サイトなどを日本語へと翻訳する仕事をしているのですが、出版翻訳を目指して出版社に洋書の持ち込みをしてきました。この本のことはネットで存在を知り、タイトルとあらすじに興味を持ち購入をしました。実際に読んでいて、何度もパパが出遭う迫害や詐取に怒りを、そして家族との死別に悲しみを深く感じました。それでも彼はもがきながら懸命に生きていきます。泥臭いほどの生き方です。

シュワルツバウム氏が語っているように、ホロコースト(ユダヤ人虐殺)や強制収容所での凄惨な状況は、世代や国を超えて1人でも多くの人に伝えていくべきものではないかと思います。またこの本は歴史の側面だけではなく、苦境や困難の中で「人生を生き抜く」ことを大きなテーマにしています。社会や学校や仕事で大変な思いをしている私たち日本人も力づけてくれるはずだと考え、これまでいくつかの出版社に企画として私は提案をしてきました。しかし、採算が取れないなどの理由でどこからもいいお返事がいただけずに時間が過ぎていきました。だからこそクラウドファンディングで翻訳出版をするサウザンブックスの存在を知ったときの喜びは、とても大きなものでした。

『What Papa Told Me』は誰もが気軽に読む本ではないかもしれないけど、ホロコーストのことやシュワルツバウム氏の生き方を伝えるこの本を出版する意味がきっとあるはず。そして内容に共感してもらえる人たちと一緒にプロジェクトの達成を祝えたらどんなに嬉しいだろうと考えたのです。

日本でホロコーストの事実を伝えたいと思っている方や、身の回りや世の中の一方的な理不尽に怒りや悲しみを感じている方とともに、この本の出版をぜひ実現したいというのが私の願いです。

理不尽な悪意や差別や圧力に出遭ったときには、カッコ悪くてもまずは自分や周りの人の生活を守ることこそが大切なのだと私自身もこの本に教えられました。みなさんぜひ、「何としても生きろ」というパパの力強いメッセージが込められた『What Papa Told Me』の出版翻訳を目指すプロジェクトを応援してください!

発起人:土橋 啓之(どばし ひろゆき)
翻訳者。青山学院大学文学部卒業。自身の訳書出版を目指しつつフリーランサーとして在宅で翻訳の仕事を行う。その一方で、不登校の子どもたちが通うフリースクール「東京シューレ」でボランティア・スタッフとして活動する。学校以外の居場所で、子どもたちが思い思いに毎日を過ごせるように助力。もっとも強く印象に残っているノンフィクションの翻訳書籍は、少年時代に読んだダニエル・キイスの『24人のビリー・ミリガン』(訳:堀内 静子、早川書房)。
共訳書に『Photoshop CS6 Book―フォトグラファーのための中・上級テクニック』(著:スコット・ケルビー、監修:早川廣行、ピアソン桐原)